かぜの引き始め 何を選ぶ?

長野市民新聞
2018.12.8

コラム#113
【かぜの引き始め 何を選ぶ?】

かぜの漢方薬といえば「葛根湯(かっこんとう)」ですが、なんでもかんでも葛根湯というわけでもないんです。

通常かぜの初期には、ゾクゾク感や体の節々が痛いといった症状が現れます。これは「体をもっと温めろ!」といった体の反応で、体温を上げることによって免疫細胞を活発にしようとしています。寒気が強い場合は、とにかく体を温めることが最優先になります。

葛根湯は、体を温めて免疫を引き上げ、適度な発汗によってかぜを早期に治めてくれます。これがかぜの引き始めに最適な理由になります。

一方、悪寒があまりなく熱症状が強い場合は、葛根湯は逆効果になってしまいます。発熱によって体水分が失われたところにさらに発汗しては、熱が下がらないだけでなく、体力が消耗して回復が遅れてしまうからです。この様な場合は「銀翹散(ぎんぎょうさん)」といった解熱作用の生薬が集まったものを使います。

また寒気や熱はないけれど、吐き気や下痢など胃腸に来るかぜもよく見られます。この場合は「蕾香正気散(かっこうしょうきさん)」といった胃腸型感冒薬を選びます。

かぜの症状は多様で、そのとき何を選べば良いのか難しいところですが、生薬には広い抗菌・抗ウイルス作用があるので、引き始めや予防に上手に取り入れていただきたいと思います。