長野市民新聞
2016.9.10
コラム#059
【体水分と体温の微妙な関係】
私たちは熱がある時、すぐに薬を服用しますが、カゼとは違う熱感が続く場合は、しばらく様子を見ることが多いと思います。
現代医学では、何かしらの炎症を疑いますが、漢方では、体力や免疫、身体の「体水分量」にも着目していきます。カゼの後や、寝不足の時に微熱が続くことがありますが、これは消耗に伴って、身体が熱の産生力を高めて頑張っている状態です。体力を引き上げることによって早く回復させることができます。
人の体の約70%は水分ですが、体温は体水分量の変化によっても変動します。水が少なくなれば熱が盛んになり、水が十分にあれば熱が冷めるといった相対的な関係です。体水分は、熱によって失われますので、体力の回復とともに、積極的に取り戻していきます。
更年期におけるほてりや肌粘膜の乾燥も、体水分の減少と捉えますので、ホルモン分泌を促しながら、潤いが増えるようにしていきます。
通常の水分補給だけでは身体に留まらず、胃腸や泌尿器にも負担がかかり易くなりますので、生薬の効能で無理なく自然に取り入れていきます。体水分を補いながら身体をしっかりとさせていこと
が、健康で快適な毎日を取り戻す秘訣になります。
※方剤例:補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、知柏地黄丸(ちばくじおうがん)