長野市民新聞
2019.6.8
コラム#125
【クレアチニンと慢性腎臓病】
健康診断の結果はなかなか緊張するところです。表には様々な数値が並んでいますが、体の底力を知る大切な情報でありながら、あまり着目されていない数値にクレアチニン(Cre)があります。
Creは筋肉で作られる老廃物の一つで、尿から排泄されますが、腎臓が衰えてくるとうまく排出できなくなり、血液中に増えてきます。
この数値が概ね1mg/dlを超え、さらに糸球体の機能が大きく低下してくると、慢性腎臓病に移行してしまいます。自分で老廃物を排泄できなくなり、点滴のような透析を頻繁に行わなければならなくなってしまいます。
腎機能は、糖尿や炎症で損なう場合もありますが、年齢とともに低下する傾向にあります。また腎臓の衰えによって、他の内臓や器官の正常な働きにも影響してきますので、今後はこの腎臓の数値にも着目していきたいところです。
漢方薬に含まれる生薬には、腎臓に作用するものが豊富にあります。また腎臓は、泌尿器だけでなく、足腰、ホルモン、免疫、耳や歯などとも関連しますので、腎臓に働きかけながら体の様々な機能を引き上げていくことになります。
漢方ではこれを「補腎」と呼んで、若さと健康維持の基本に置いています。
ぜひ多くの人に補腎していただきたいと思います。