長野市民新聞
2015.2.14
コラム#021
【神秘的なキノコ 冬虫夏草】
冬虫夏草(とうちゅうかそう)という珍しい生薬をご紹介いたします。
冬虫夏草はキノコの一種で、地面や木に生えるものと異なり、虫に生えるキノコの総称です。蛾や蚕の幼虫に菌体が寄生し、幼虫の体から細長い子実体を生やした冬虫夏草は、冬には虫の形をし、夏には草になるとされていたことが名前の由来となっています。
冬虫夏草の菌糸体には、虫が菌体に抵抗する際に産生するとされる「コルジセピン」という成分が含まれ、腫瘍に対する作用に大きな期待が寄せられています。
漢方では、肺を中心とした呼吸器系疾患や、滋養強壮薬として珍重されてきました。喘息などのアレルギー性疾患のほか、がんや糖尿病などの生活習慣病に広く応用することができます。
従来冬虫夏草は、そのものを煎じたり、粉に挽いて服用していましたが、現在は、菌子体の培養技術が発達しており、カプセルなどの飲みやすいものが取り入れられてきています。