基礎体温の見方
周期療法は、基礎体温表の傾向を見ながら、対策を立てていきます。
理想的な基礎体温表
生理周期は、排卵を境に、前半の卵胞期と、後半の黄体期に分かれます。排卵することで卵胞が黄体に変化するため、前半は卵胞ホルモン(E)、後半は黄体ホルモン(P)が主となります。黄体ホルモンは、受精卵から胎児へと成長させるため、基礎体温を上げる働きがあるため、後半は高い体温で推移します。低温期と高温期に0.3~0.5℃の差がある二相が理想的です。
また、もともとの体温自体は個人差があるので、おおよそ低温期は36℃前半、高温期は36℃後半と考えればよいでしょう。低温期から高温期へ3日ほどでスムーズに移行し、高温期が14日ほど持続することが望ましいです。さらに高温期が続く場合は妊娠の可能性ありとなります。
生理周期は28日前後が最適で、漢方では、周期が長くなる場合は、血液などの栄養状態が良くなかったり、血流が悪い状態としてとらえます。短くなる場合は、体の熱感、脳からのホルモン分泌過多(卵胞刺激ホルモンなど)、体力が低下している状態としてとらえます。周期が不順の場合は、精神的に不安定な状態としてとらえ、ホルモン分泌についても同様のことが言えます。
月経は5~7日を目安としていますが、全体的に経血が少ない場合は、内膜が薄い傾向にあると考えます。出血がダラダラと続く場合は、経血を排出する力が足りなかったり、血流が悪い状態と考えます。月経痛、経血が塊になる、経血が黒っぽくなる場合も同様に、血流が悪い状態としてとらえます。
様々なパターン
1、低温期から高温期への移行に時間がかかる(高温期が短くなる)
高温期への移行に時間がかかるパターンです。卵胞の力(成長)が弱いため、排卵後、黄体に変化しても、体温をすぐに上げる力がない状態です。卵胞が弱いと、結果として黄体も弱くなるので、体温維持や着床にしにくくなり、月経となってしまいます。卵胞が弱い場合、子宮内膜が厚くなりにくく、頸管粘液(≒おりもの)が少なくなる傾向にあります。また排卵に時間がかかっている場合もあるので、何かしらの排卵障害(高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣、卵管閉塞など)の場合もあります。
2、低温期が長い
低温期が長く、排卵が遅くなるパターンです。卵胞の成長がゆっくりなために卵胞ホルモンの分泌量がゆるやかになります。その結果、黄体刺激ホルモン(LH)がすばやく作動せず、排卵に時間がかかってしまいます。また卵胞刺激ホルモン(FSH)が多く分泌しているにも関わらず、卵巣の反応が鈍くなっている場合もあります。成長が遅いということは、卵子が未成熟の場合もあり、また排卵が遅くなればなるほど卵子の質が劣化しやすくなります。ここでも何かしらの排卵障害が伴うことがあります。
3、低温期が短い
生理周期が25日未満で、すぐに排卵してしまうパターンです。卵胞の成長が速い一方、卵子が未成熟になりやすい傾向にあり(半熟卵のイメージ)、無排卵の場合もあります。また充分な卵胞ホルモンを分泌できていないので、内膜が厚くなりにくく、頸管粘液(≒頸管粘液)が不足しがちになります。卵胞刺激ホルモン(FSH)が多く分泌し、卵巣に負荷をかけている場合もあります。
4、波形が激しい
基礎体温の波形が激しく、ギザギザしているパターンです。精神的に不安定なため、脳からのホルモン分泌が安定しない状態です。何気ない日々のストレスが影響することが多く、波形だけでなく 、生理周期も不順になる傾向があります。また排卵を抑制するプロラクチンが分泌されやすくなるのも特徴です。
5、平坦型
全体的に基礎体温が低く、高温期がない平坦なパターンです。卵巣機能が弱いため、卵胞ホルモンがあまり分泌されません。その結果、排卵されず、黄体ホルモンも分泌されにくい状態です。なかなか月経が来ない場合に多くみられます。全体的な体力の引き上げや、ホルモン分泌に働きかけていく必要があります。
6、その他
基礎体温が低い、あるいは高いケースがあります。全体的に低い場合は、当然ながら体のベースアップが必要になります。高温期が低い場合は、黄体が弱いということになるので黄体に働きかけていきます。低温期の卵胞の成長に働きかけていくことも合わせて行います。
一方体温が高い場合はどうでしょうか。何となく高い方が良い気がしますが、あまり高くても卵子や受精卵の成長に影響がでてきます。現に精子は熱に弱く、睾丸が体外にあることからも分かります。低温期が高すぎるということは、卵胞刺激ホルモンが多く分泌され、卵巣が頑張り過ぎているともとれますので、卵巣を穏やかにしてあげることが必要です。また高温期が高すぎると着床しにくくなるので、過剰な熱を取り除いていきます。36℃前半の低温期、36℃後半の高温期を目安に、基礎体温を整えていきます。