長野市民新聞
2021.1.23
コラム#164
【感染予防「攻守」の意識】
毎年の流感、予防接種をしたり気を付けたりしていても罹ってしまう人がいれば、産まれてこの方一度も罹ったことがないという人もいます。インフルに取って代わった新型コロナも同様に比較的罹りにくい人もいると思われ、その違いは何だろうかと気になるところです。
病原体が体内に侵入すると、それを排除すべく白血球が一斉に攻撃を開始し、抗体を作りながら、全身の免疫を総動員して感染・発症を抑え込みます。
しかし免疫細胞が質量ともに足りていなかったり、不安定な自律神経(メンタル)や睡眠不足、疲労の蓄積や胃腸の不調等、ウイルスに抵抗する力を弱める要素をそのままにしておいたりするとリスクを高める要因につながってしまいます。
また免疫細胞や酸素等の運搬を行っているのは血液。体調不良や冷えはその循環を鈍らせ、ウイルスは血管等を傷める傾向もあることから、血液循環の良し悪しも症状の軽重を左右することになります。
漢方では感染症に対し「攻守」で立ち向かいます。
「攻」は広く抗ウイルス作用が認められる生薬や、清熱作用のある生薬を取り入れる。「守」は免疫細胞を生み出し、免疫を活発にするものを取り入れる、免疫活性を妨げる要素を摘んで抵抗力を引き上げていくことです。
体の状態を大局的に判断するのは難しく、体質や性格を含めた遺伝的要素もありますが、自身で感じる「守」の手薄な部分を改善していくことも感染予防の一環です。