長野市民新聞
2016.11.26
コラム#064
【子宮筋腫 女性に「当帰」】
成人女性の4人に1人にあるとされる子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。できる位置や大きさにもよりますが、主な症状は、痛みや出血過多、それに伴う貧血などが挙げられます。
原因には体質や生活習慣等が影響し、漢方では「血液循環が悪いとできものができる」と考え、活血薬(血流を促す漢方薬)を積極的に用いていきます。出血量が多い場合は止血薬を優先しながら、貧血対策も合わせて行っていきます。
このように子宮筋腫には、①血行不良②出血③貧血という三つの病態が存在しますので、多方面からのアプローチが必要になります。
これをカバーしてくれるのが「当帰(とうき)」です。薬理研究においても子宮の収縮と弛緩を調整する作用が認められ、子宮の健常化が期待できます。女性には欠かせない生薬の一つです。さらにコラーゲン質の「阿膠(あきょう)」、5種類の生薬で構成される「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、いぼやニキビにも使われる「薏苡仁(よくいにん)※ハトムギ」などを組み合せると効果的です。
血液の巡りには、慢性的な冷えや心身の疲労も大敵で、筋腫以外にも様々な婦人病や不妊につながりやすくなります。少しずつ体力をつけな
がら、常に体を芯から温めていくことが大切です。
※方剤例/
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)