糖尿病(高血糖症)の基準値
・空腹時血糖<126mg/dL
・食後血糖値<200mg/dL
・HbA1c>6.0%
糖尿病は、すい臓からのインシュリンの分泌が弱い、あるいは分泌されないことによって、血液中のブドウ糖濃度が慢性的に高い状態です。血糖は、食べれば一気に 上がり、その後数時間で一定の値(活動をするための最適な血糖値)まで下がって落ち着くのですが、これがなかなか下がりにくくなってしまうことに問題があります。
原因としては、インシュリンを分泌する機能的なことのほか、老化や運動不足などによる糖代謝の低下が挙げられます。もちろんカロリーオーバーの場合もあります。
糖がスムーズに下がらないと、たくさんの糖が血液中で余ってしまいます。その状態のまま食事を重ねていくと、糖と血液中の赤血球(ヘモグロビン)が結合を始め(この結合物の価がHbA1c)、酸素を運搬する能力が低下してしまいます。その結果、循環器系の疾患、目の疾患(網膜症)、腎不全などの合併症が起こりやすくなります。遺伝的要素がないわけではありませんが、生活習慣病の最たる疾病なので、まずは食事の摂り方と生活習慣に気をつかい、体を動かすことに意識を置くことが大切です。
しかし体を動かす(頭を使う)には糖分が必要なので、その時はしっかり摂り、そうでない時は減らすといった調整が必要です。食事の摂り方にメリハリをつけていくと糖代謝が徐々に上がってきます。また現代は、栄養過多で栄養不足の傾向にあります。栄養素には、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質の三大栄養素のほか、ビタミンやミネラルがあります。特にミネラルはインシュリンの分泌や新陳代謝に欠かせない栄養素なので、炭水化物や脂質の摂り方を工夫しながら、積極的にとりいれていきましょう。
中医学による対策
中医学では、消化器全体の働きを活発にすることでインシュリンの分泌を促していきます。また内臓の働きが上がることによって糖代謝が良くなるので、疲労感やだるさを解消しながら体全体の力を引き上げます。筋肉を動かすと糖が消費されるので、筋力をつけていくように働きかけていきます。糖代謝を上げるには血液の循環が活発でなければなりません。循環を積極的に促すことでHbA1cを下げることもでき、合併症予防にもつながります。その他、精神的ストレスを和らげ、インシュリンンの分泌や血液循環を促進します。
血糖が高くてもあまり自覚症状がない場合もあります。だるさや口の渇きなどの具体的な症状がある場合は、まずはその部分に着目して症状を緩和していきます。高血圧などの循環器の症状や、しびれなどの末梢神経障害がある場合は、合併症の予防も兼ね、血液循環に重点を置いた治療をしていきます。体全体の力を上げて、糖代謝を高めていきます。