ウドの根茎で足腰の強化

長野市民新聞
2019.12.28

コラム#138
【ウドの根茎で足腰の強化】

朝晩の冷え込みが体に堪えるようになってきました。漢方では暑さ、寒さ、湿度などの自然要素は体調を崩す大きな要因とし、気候を踏まえながら症状を改善していきます。

この季節は何といっても“冬の寒さ”。寒さは体表から入り込んで筋肉の動きを鈍らせ、筋肉・腱・骨の連動や血流を妨げて痛みやしびれを引き起こします。

そのため、下半身を中心に温め、血流を促すことに重点を置きますが、足腰の各部位が弱くなったり歪んでくると神経に触れてきますので、筋骨に働きかけて足腰を強化していくことが大切です。痛みには少なからず炎症を伴うので消炎にも配慮し、多方面からアプローチしていきます。

これらを総合的にカバーしてくれる処方に「独活寄生湯(どっかつきせいとう)」があります。主薬は山菜として食されるウドの《独活(どっかつ)》。東洋医学で言うところの経絡のつまりを改善して痛みを和らげます。

血流を促す《当帰(とうき)》《牛膝(ごしつ)》、筋骨を強くする《桑寄生(そうきせい)》《杜仲(とちゅう)》、鎮痛作用のある《細辛(さいしん)》など、薬効の異なる生薬がバランス良く配合された隠れた名処方です。

ウドは地味なイメージですが、栄養価・薬効ともに高いことで知られています。寒い季節に土の下の素材で養生していくことが、春・暖かい季節になってからの活力になります。