長野市民新聞
2020.2.22
コラム#142
【炎症疾患、抵抗力とともに】
今回は“炎症疾患”に用いられる漢方薬をご紹介します。
名前は、飲む消毒と書いて「五味消毒飲(ごみしょうどくいん)」という名処方。「医宗金鑑」という医学書が出典で、何ともストレートでザワつきそうなネーミングです。
構成はスイカズラ≪金銀花(きんぎんか)≫、キクの花≪野菊花≫、タンポポの根≪蒲公英(ほこうえい)≫のほか全5種類。花などの軽い生薬は、体表や体上部に作用する性質があることから、顔や頭、上半身の炎症や腫れに働きかけるのが特徴です。
薬理的にも、穏やかながら抗菌・抗ウイルス、抗アレルギー作用が認められ、ニキビ、湿疹、じんましん、アトピーなどの皮膚疾患全般に働きかけます。また、喉の痛み、目の充血、鼻炎などにも幅広く応用することができます。
今日では変方された手軽なエキス粉末を用いていますが、味は罰ゲームのようにとても苦いです。漢方に馴染みがないとなかなか取り入れにくいところですが、良薬口苦しということでぜひお試しいただきたいと思います。
なお、炎症やアレルギーは心身が疲れていると反応が強く出るため、休息や発
散と合わせ、抵抗力を引き上げるもので体を補っていくことが大切です。毎日の食事については、栄養価の高い旬の食材、添加物の少ないもの、腸を整えてくれるものを積極的に摂っていくと良いでしょう。
身の回りには炎症を引き起こすものにあふれています。体を守るのは体そのものという意識が、様々な疾患を跳ね返す力につながっていきます。