長野市民新聞
2018.9.8
コラム#107
【強い治療に耐えられる身体を】
がんと判った時、現代医療では、部位や状態に応じて、手術、抗がん剤、放射線といった治療が行われます。
特に化学療法は、がんの増殖を抑えながら、転移や再発防止が期待でき、治療に組み込まれることが多い状況です。ところが、ここに副作用や体調不良が立ちはだかります。
抗がん剤は、がん細胞を攻撃する一方、自分の細胞も傷めながら、著しい体力消耗と、組織や器官の機能低下を招いてしまいます。いわゆる薬負けの状態です。
漢方ではこれを《気血両虚(きけつりょうきょ)》や《陰陽両虚(いんようりょうきょ)》などと表現し、気力、血液、体水分、体温(免疫を上げる健康体温)が失われた状態として捉え、体を取り戻すことに専念します。
漢方生薬には、胃腸全体を守りながら、造血系や内分泌系に働きかけ、内臓機能や精神面の安定・向上、そして抗がん剤等の副作用の軽減、疼痛の発生を防いでいくことができます。
顆粒やエキス剤などの手軽なものを、早めに並行して摂り入れていくことが、治療の継続や早期克服につながります。
普段、体の中はどうなっているか分かりません。しかし体調の良し悪しは分かります。症状を一つでも二つでも減らしながら、強い治療に耐え得る体と、自分自身の治す力を引き上げていくことが大切です。