長野市民新聞
2018.4.14
コラム#097
【春から初夏の体調を整える】
漢方には「陰・陽」という考え方があります。
これは森羅万象ありとあらゆる事柄を対極的に捉え、自然環境の中で生きる人の健康に役立てようというものです。
例えば季節。陰は暗い・寒い・水、陽は明るい・暖かい・火という位置づけなので、冬は陰、夏は陽にあたります。そして陰陽は、春夏秋冬そしてまた春へと循環することから、陰と陽の転換期である春先は、陽が次第に強くなり、気温等が上昇することによって体温コントロールが難しい季節になるわけです。
一方体内では、体水分を陰、体温を陽と捉えていて、冬の期間は体水分が減少するため、相対的に熱がこもりやすく、体の上部に症状が出やすくなります。
比較的細身で、肌や粘膜が乾きやすく、ドライマウスの方は、環境の変化など、いわゆる5月病も相まって、めまいやのぼせ、不眠やうつ症状、だるさなどの症状が現れることもあるため用心していきます。
春から初夏にかけては、地黄や麦門冬など、陰を補う生薬が多く含まれるものが最適で、体がしっかりして活力が湧いてきます。真夏に向けた熱中症対策にも備えられますので、なまった体をほぐしながら、体調アップに努めて頂きたいと思います。
方剤例)八仙丸(はっせんがん)、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)他