不快な難聴、機能を引き上げる

長野市民新聞
2017.8.26

コラム#082
【不快な難聴、機能を引き上げる】

耳が聞こえにくくなる難聴は、耳のどこで問題が起きているかで異なります。耳は大きく外側から外耳、中耳、内耳に分けられますが、外耳は鼓膜までの2~3㎝の耳道、中耳は鼓膜とその奥の空間、内耳には音の振動をシグナルに変換し、脳に伝える器官などが集まっています。

原因は外耳炎などの炎症や、耳管の狭窄・腫れの他、内耳にあるカタツムリの形をした《蝸牛(かぎゅう)》という器官の機能低下が挙げられます。蝸牛の中はリンパ液で満たされていて、その内側には音感細胞がピアノの鍵盤のように並んでいます。

この細胞が傷んだり欠損したりすることで違和感を感じるのです。若い人にも起こる耳の疾病ですが、慢性的な心身疲労が大きく影響するため、休養と栄養を十分にとり、しっかりと取り組んでいくことが大切です。

新薬には、耳の機能を引き上げるものはなかなか見当たらないですが、漢方には、穏やかながらも徐々にその回復を期待できるものがあります。配合されている生薬の性質を利用し、身体を温めて血行を促すなど、腰痛・関節痛に使う漢方薬を応用して改善していくこともできます。すっきりとした耳で、元気ハツラツで行きたいところです。

例)滋腎通耳湯(じじんつうじとう)、独活寄生湯(どっかつきせいとう)