耳鳴り、難聴 耳の機能を活性化

長野市民新聞
2015.7.25

コラム#032
【耳鳴り、難聴 耳の機能を活性化】

耳鳴りの煩わしさは、本人にしか分からないところですが、音の性質によって、ある程度の原因を探ることができます。

かん高く騒がしい音や、耳をおさえるとひどくなる場合は、炎症が起きていたり、ストレスの負荷が大きいと考えられます。一方、低く太い音が続き、聞こえにくい場合は、耳そのものの機能低下を疑います。後者にはこれといった新薬は見あたりませんが、漢方では、全身症状の改善を通じて、耳の機能向上に取り組むことができます。

音は外耳道を通って鼓膜を振動させます。その振動は、耳小骨を伝わって、内耳にある蝸牛(かぎゅう)という器官を刺激します。蝸牛の中の有毛細胞が、その刺激を電気信号に変換することで、脳が音を瞬時に認識しているのです。漢方薬は、耳に作用するものを中心に、滋養的なものや、血行を促進するものを組み合わせます。

中でも、腰痛・関節痛によく用いる「独活寄生湯(どっかつきせいとう」は、耳の様々な器官の活性化にも応用でき、様々な症例が報告されています。機能を上げるには、一定の時間がかかりますが、服用するにつれて体調も良くなり、症状も自然と治まってきますので、根気よく続けていくことが早期改善の近道になります。