妊娠の仕組み

妊娠の仕組み

妊娠の仕組み

現在日本では、10組に1組のカップルが不妊に悩んでいるといわれています。不妊は、卵の成長や質の低下、 排卵がうまくいっていない、頸管粘液が少ない、着床しにくい、高温期に体温が安定しないなど・・・、 いくつかの原因が重なって、妊娠がしにくい状態のことをいいます。原因はさまざまですが、まずは妊娠の仕組みを確認しておきましょう。

1、排卵

妊娠の仕組み

卵子は胎児(女の赤ちゃん)の時に作られます。誕生する時に、すでに一生のあいだに排卵する卵子約200万個がすでに作られており、思春期まで卵巣で眠っています。

脳から卵胞刺激ホルモンが分泌され始めると、眠っていた卵子のいくつかが成長を始めます。卵巣は卵胞ホルモンを分泌し、子宮内膜を増殖させ、精子が子宮頸管を泳ぎやすいように粘液を増やします。卵胞ホルモンが十分に分泌されると、次は脳から黄体刺激ホルモンが分泌され、一番状態の良い卵子が卵巣から飛び出してきます。これが排卵です。

2、卵子の取り込み

排卵された卵子は、卵管采に取り込まれます。キャッチされた卵子は卵管を伝わって子宮に向かいます。

3、精子の移動

射精された精子(数千万~数億匹)は、子宮に向かってすぐに泳ぎ始めます。しかし膣内は酸性なので、アルカリ性を好む精子はそのほとんどが死んでしまいます。それでも約10%の精子は子宮頸管を通り、子宮さらに卵子が移動してくる卵管膨大部に向かって泳ぎ続けます。そしてここに辿り着ける精子は、わずかに数十~数百の精子となります(1/10000の確率)

4、受精

卵管膨大部で待っている卵子は、透明帯という殻に覆われています。一番に辿り着いた精子は、透明帯を溶かす酵素を出しながら卵子の表面へ付着します。最初の精子が透明帯を通過すると、透明帯に変化が起きて、他の精子はシャットアウトされます。これが受精です。

5、受精卵の移動、着床

受精後、精子と卵子の染色体が合わさり、数時間後には2つの細胞になり、4細胞→8細胞と分裂を繰り返しながら、子宮に向かって卵管内を移動します。受精後5日ほどすると、受精卵は胚盤胞(はいばんほう)となり、子宮内膜に着床します。

着床がうまくいかなかったり、着床しても成長が進まない場合、例えば受精卵の生命力が弱かったり、黄体ホルモンが不足しているような場合などは、妊娠が継続できず、月経となってしまいます。

このような一連の過程のどこに妊娠の障害があるのかを確認しながら、ポイントを絞った効果的な治療をしていくことが妊娠への近道です。