食あたりにご用心、胃腸を覚醒する

長野市民新聞
2017.7.22

コラム#080
【食あたりにご用心、胃腸を覚醒する】

夏は気温や湿度の上昇とともに、細菌が一気に繁殖しやすくなる季節です。調理や保存、食事などに細心の注意を払っていても食中毒になってしまうこともあります。

細菌は炎症・痛みを引き起こし、人体はそれを一刻も早く追い出そうと、激しい嘔吐や下痢で防御します、数回トイレに駆け込み、事なきを得ればよいのですが、細菌の勢いが強い場合は、いち早い原因菌の特定と、抗生剤の投与・点滴が必要になります。

一方夏場は、熱中症対策として水分を多めに摂るようになりますが、それによって胃腸に負担がかかり、働きが低下してきます。水分摂取と発汗の繰り返しによる体力の消耗や、冷たいものの断続的な摂取が、ボディブローのように胃腸全体をダウンさせてしまうのです。

漢方に「醒脾(せいひ)」という言葉があります。《醒(せい)》は覚醒の醒、《脾(ひ)》は消化器全体を示します。つまり弱った胃腸を目覚めさせるという意味になり、夏の漢方薬は、水分代謝を促進しながら、胃腸の働きをキープするのに長けています。抗菌作用を持つ生薬が多く、免疫の増進にもつながります。

夏バテを感じたら、ぜひ漢方をお試し頂きたいと思います。体を早く立て直すことができます。

※方剤例:蕾香正気散(かっこうしょうきさん)、胃苓湯(いれいとう)