アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎が治りにくいわけ

アトピーが治りにくい理由には以下のことが挙げられます。

①皮膚が乾燥して痒くなるため、無意識に掻いてしまう。
②痒みそのものがストレスとなり、アレルギー反応が鎮まらない。

結果、皮膚細胞が整わず、悪循環になってしまいます。

アトピー性皮膚炎は、10人に1人が悩んでいると推測されており、ひと昔前までは、乳幼児から小学生の皮膚の薄い子どもに多い疾患でした。通常、皮膚は成長に伴って丈夫になり治りやすくなりますが、現在では食生活やストレス社会の影響もあり、なかなか治らなかったり、また成人になってから発症するケースも多くなっています。

かゆみの悪循環

皮膚や粘膜は、表皮や角質が整い、表面がみずみずしいと、外からのさまざまな刺激を跳ね返すことができます。しかし表面が乾き、皮膚細胞が荒れていると、その刺激に強く反応し、ヒスタミンが大量に発生し強いかゆみや炎症を引き起こしてしまいます。痒いから掻く、掻くから炎症がひどくなる、調子悪いからからイライラする、精神的に安定しないからアレルギーが収まらないといった悪循環となります。

アトピー性皮膚炎のメカニズム

いったんアレルギー反応を起こすと鎮まるまでに数週間かかります。状態が落ち着いてきても、ちょっとしたことでまたぶり返してしまいます。かゆみや炎症を止めるだけでなく、皮膚の再生に意識を置くことが重要になります。

現代医学と中医学(漢方)の違い

アレルギー疾病であり、皮膚病であるアトピーは、現在医学では、 痒みや炎症を鎮めるため、内服薬では抗アレルギー薬、外用薬ではステロイド剤が中心になります。ステロイド剤を使わない場合は、ワセリン(軟膏)などで保護をし、皮膚の再生を待つといったことも行われます。しかし特に再生を促すという観点はあまりなく、薬もない状況です。どうしてもステロイド剤でコントロールしていくことになります。

一方中医学では、痒みや炎症を鎮めながら、皮膚の再生を促すものが豊富にあります。痒みの程度や炎症の度合い、皮膚の状態等に応じて、炎症を鎮める方に重点を置くのか、皮膚の再生に重点を置くのかを決めていきます。ジクジクしていたり化膿している場合は、炎症が特に強い状態ですので、尿を促しながら炎症を積極的に鎮めていきます。

また中医学では、胃腸を整えると皮膚も整うという考えがあるので、胃腸に対するケアも十分に行っていきます。また体内に熱がこもっていると炎症が静まらないので、緩やかに発汗させたり、お通じをつけていきます。

どちらの方法が良いということではありません。炎症が強いときは、中医学では追いつかないため、一時的にステロイド剤を使った方が早く落ち着く場合もあります。ステロイド剤だけ使っていると、少し良くなっても止めればまた出てくるといった繰り返しや、皮膚が薬負けしてしまうことも起きてきます。中医学で皮膚の再生を促し、ステロイドを使わなくても大丈夫な皮膚にしていく必要があります。どちらの方法も一長一短ですので、上手に取り合わせて、一日も早い改善をめざしましょう。

(子どものケア)

子どもの皮膚は薄くとても敏感です。また胃腸を中心に内臓が成長段階のため、皮膚をしっかりさせるための栄養がまだ十分ではない状態です。皮膚のバリア機能を高め、健康的な発育を促すためにも胃腸のはたらきをしっかりとさせていきます。 保存料の多い食品はできるだけ避けるようにしましょう。

(大人のケア)

大人は、精神的ストレスや疲労、生活習慣や食事の影響を大きく受けます。できれば仕事時間を短縮し、少しでも心身を休めていくことが必要です。食事については、カロリーを低くすることを心がけていきます。減らしているつもりでも、意外と摂っている場合もありますので、食生活の確認は大切です。その他部屋をきれいに保ち、刺激となるものはできるだけ減らしていきましょう。肌の乾燥が強い場合は、より一層のスキンケアをしていきます。